こんとらすと
m.qyi

こんとらすと









ぼくは地中海へカチカチと音を立ててオナニーをすると
たんぽぽの白い種がの群青の奥深くきもちよく吸われていく



どこまでも透明な青磁のお碗のなかで
たくさんの光素が反響して耳鳴りがする



コンタクトレンズの透明なリングに冷水を注いでいる
頭の天辺

見えるのか見えないのかなあ
海の向こうの戦争の悲惨な悲鳴の中を

抜けるのはさらっとした潮風
潮風がたいへんさらっと吹く

空洞の僕を
悲しい事も苦しい事も悔しい事もましてや恐しい事も

なにもなかったよ、ないよ いまも
僕の中は暗く涼しいだけだ

ぺんぺん草は鼻孔から銀色の太陽に小さな鏃を研ぎ
たんぽぽは暗い眼孔から白い冠毛の顔をわざわざぼんやりのぞかしている



ぼくは しゃれこうべ
これは ぼくの死んだ後の話

















自由詩 こんとらすと Copyright m.qyi 2005-08-18 08:39:30
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