八月生まれ
本木はじめ
八月の暦に耳を押し付ける少年いつしか海原のうへ
生い茂る真緑の原に埋もれゆく廃工場に響け恋歌
遠回りで帰る夜道に横たわる近道えらびし野うさぎの母
飛行機を追うてふもとの村の子ら京へとのぼる前ぶれとして
他県ナンバーの車が次々と行き交うここも誰かの故郷
主人公たちは風雨にさらされる読み捨てられし古本雑誌
かつて空を掴まんとして押し付けし手の型のこる廃校の窓
八月に生まれたきみを追い駆けて生まれた蝉の子孫らの声
短歌
八月生まれ
Copyright
本木はじめ
2005-08-15 20:09:24