あかよ
せんたく板
とんぼ (あか) とんぼ (朱) とんぼ (あかよ)
蜻蛉 (あか) 蜻蛉 (あか) トンボ (あかよ)
(あか) (あか) (紅よ)
茂みに隠れる君よ
青い風が、黄金色の草原を撫でゆく
月の、その隣りで立つ金星の輝けるを
深き湖の鏡の側で、赤味を取り戻す
君は水面を歩く
夜明けから朝露が、地べたに落ちるまでのことである
往復する間に、朝と夜の時は逆行するのだろう
穂がひと筋、舞い上がった
青みに隠れる虫たちの
あまき水への欲も、いま、光の漠となりつつ
彼らは可憐に、白日の無の中へと挑もうとしている
今、秘やかなる根も、凍てつく夜を讃えていた
月はふくれ上がり、地を這う葉を飲まんとする
月からにゅいと伸びた手が、小豆を掴んで
それから黒い背中を向けてしまったので
虚無が訪れた
やがて愛しさも忘れさられ
静けさを破る絶叫よ
雪とならむ
われを押さえつけよ
透明なる結晶よ
壊れることなく
血を、運ぶことなく
われを、押さえつけよ
見よ
浮かび上がるあなたの白い吐息は
あなたの、音の結晶を運んでいたのである