夕立は魚にだって動揺です(題詠マラソン2005 031-040)
汐見ハル

夕立は魚にだって動揺です必ず終わりのときが来るから




031:盗

ひかりならせかいきらきらあふれてる盗人まじりの煙草潰して


032:乾電池

乾電池に鼓動をさがす夜明け前のびたラーメンうそぶくラジオ


033:魚

ただ上手く生きてゆけないだけのこと息継ぎしらずの魚のように


034:背中

鎖骨から熱の鼻梁を感じつつ背中のくぼみをたしかめていた


035:禁

トロイメライ禁止の墓標とかせ雨しろい化石をまるくみがいて


036:探偵

完璧な正三角形描けるひと、あるいは探偵気取りのネコとか


037:汗

母犬が仔犬を舐める舌つきで汗を涙に変えやがる。ばか。


038:横浜

横浜の小さな世界で逢いましょう人形仕掛けの恋を悼んで


039:紫

紫のまだらが黄ばみ薄れてく膝小僧に似た夏かもしれない


040:おとうと

「おとうとがいそうな顔だね」微炭酸消えてくような瞳で口説く





短歌 夕立は魚にだって動揺です(題詠マラソン2005 031-040) Copyright 汐見ハル 2005-08-11 15:22:41
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