夕立は魚にだって動揺です必ず終わりのときが来るから
031:盗
ひかりならせかいきらきらあふれてる盗人まじりの煙草潰して
032:乾電池
乾電池に鼓動をさがす夜明け前のびたラーメンうそぶくラジオ
033:魚
ただ上手く生きてゆけないだけのこと息継ぎしらずの魚のように
034:背中
鎖骨から熱の鼻梁を感じつつ背中のくぼみをたしかめていた
035:禁
トロイメライ禁止の墓標とかせ雨しろい化石をまるくみがいて
036:探偵
完璧な正三角形描けるひと、あるいは探偵気取りのネコとか
037:汗
母犬が仔犬を舐める舌つきで汗を涙に変えやがる。ばか。
038:横浜
横浜の小さな世界で逢いましょう人形仕掛けの恋を悼んで
039:紫
紫のまだらが黄ばみ薄れてく膝小僧に似た夏かもしれない
040:おとうと
「おとうとがいそうな顔だね」微炭酸消えてくような瞳で口説く