雷雨の夜に
黒田康之

雷雨の夜に
またお前の魂はくっきりと日に焼けて
幼い胸板をさらしている
いくつになっても
お前の魂は脆弱で
いつまでたっても子供のようだ

そういえばひまわりが咲いていたっけ
あのお前の家の小さな庭に
風もないのに大きな葉が
お前のように揺れていた

日に焼けたお前は強がってばかりで
意地を張れば張るだけ声は
子供のようにうすべったくなっていく
そうやってお前はこのまま人の目を見ないで生きていくのだろうな
そう思うと
この雷鳴に染められてゆく自分と
雨音に耳を傾けるお前の間に
歴然とした風が吹いていて
その溝が離れれば離れるほど
夏の花が無数にはびこってゆく

強がるばかりのお前は
その日焼けした臑で
つまらなそうに空気を蹴っては
過去にしでかした過ちのいくつかを
まったくしゃべりたくなさそうに口にするのだろう

明日はこのかわいいお前のために
どうしようもなく夏の花でいっぱいの二人の溝のために
花火が上がる街まで行って
僕の溜息がお前に聞こえぬ時間をあげよう
大きな花火が
大きな音で
ただお前の生を称えるように
僕はお前を抱いて祈ろう


自由詩 雷雨の夜に Copyright 黒田康之 2005-08-09 17:22:42
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