壊れたブローチのような蝶を
夜景
壊れたブローチのような蝶を
ふくらませた両手のひらの中で
大切に飼っている
飛び去ることも
息絶えることも
考えもせずに
目にした
耳にした
手にいれた何もかもは
変わらずそのまま
そこに在り続けるのだと
どんな現実にも背を向けて
今はただひたすら
思い込んでいよう
私のこの手のひらを
その美しい羽根のはばたきでくすぐる瞬間が
二度と訪れないとしても
自由詩
壊れたブローチのような蝶を
Copyright
夜景
2005-08-07 22:23:15
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