桃色ガス
あおば

意識無意識が不自由な手で
ピタゴラスの缶詰を開けるとき
逆戻りした冬空は霙を降らす。

完売した安売りのビールを運ぶトラックは
新たな排気ガス規制に対処できなくて
既に廃車になっていた。

桃色ガスの廉売を待っている群衆は
すでに酔いが醒めて空腹を訴える
炊き出しの準備は誰がするのだ。

廃館のプラネタリウムに星が住む
見えない銀河で古代魚を釣る人達
弁当の蓋が開いておかずが逃げた。









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作 2001/03/03


自由詩 桃色ガス Copyright あおば 2005-08-02 01:08:02
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