滲む音の、震える香。
チャオ

雨の道を歩く、水溜りの歩道。
灰色の雲は灰色の光を閉ざす。
届かない熱は届けない大気を怨む。

振動に驚く大気の呼吸。
こもる音。飛び去るフラミンゴ。
やがて、届かない、熱を想う。

白と黒のスペースへ、指先は触れる。
震える指、震える空間。伝わる振動、抜け出した音。
思う気持ちとは裏腹に、雨は降り止む。

解放された時間、去る人。
歩道へ座る、雨の残り香。
やがて、思う気持ちとは裏腹に、一人だけの音は止まる。


自由詩 滲む音の、震える香。 Copyright チャオ 2005-07-30 18:58:49
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