Pole To Win
恋月 ぴの

ふくよかな双丘には
産毛のような若草が萌えていて
双丘を駆け登る風が
君の可愛らしい鼻歌を遠く麓から運んでくる

双丘の頂きから下界を眺めると
みぞおちへ下る急斜面は
真っ逆様に転げ落ちるように感じてしまうけど
ここは、思い切りが肝心
左腕にはめた腕時計を
惜しげも無く草むらに放り投げ
MTBのブレーキにかけた手を少しずつ緩めてみる

ゆっくりと前輪が斜面にかかり
あとは風任せ
運任せ
サドルからわずかに腰を浮かせ
ペダルに乗せた爪先でバランスを取れば
心地よい緊張感は僕の五感に官能的で

君の鼻歌に艶やかさが増すに連れ
轍の後も鮮やかに
みぞおちまであと少し
悲鳴のような君の歓声を
背中に受けると
そこはゴール
Pole To Winの栄光
君に向かって右のFistを突き出せば
君とのシャンパンファイトが待っている

黄金色の吹き出す泡が
僕の乾きすぎた五感を潤して
勝利の美酒を酌み交そう
Pole To Winの饗宴は果てしなく続く


自由詩 Pole To Win Copyright 恋月 ぴの 2005-07-30 17:02:33
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