野良猫の死骸
HARD

一匹の首輪もない野良猫が死んだ
道路で車に撥ねられた
血は既に乾き 赤い染みのよう

その猫は
必死に捨ててきたのだ
あるいは
必死に守ってきたのだ

そして最後がこれだ
この死に様を
嘲笑うのか 悲しむのか それとも尊敬するのか
それは人それぞれというものだろう

独り立ちしていたその猫の
親はまだ生きているだろうか
生きていたとしても この悲報を知る事はないだろう

雄か雌かわからないその猫に
子猫はいただろうか
いたとしても とうてい見つけられるはずもない

嘲笑うのか 悲しむのか 尊敬するのか

野良猫の死骸の横を
人間の紐に繋がれた犬が実に何気なく歩いていく


その猫の死に顔は表情がない
守っているのだろうか
捨て去ったのだろうか
死に対しての感情を


自由詩 野良猫の死骸 Copyright HARD 2005-07-30 02:04:19
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