いたいけな子供たち
黒川排除 (oldsoup)

一から十まで音読している子供たちの学習を邪魔してはいけない。子供たちは覚えようとしている。窓枠から、開いている窓枠から手が伸びて、白い手が、絞め殺した数字をひとつひとつ放していく。楽しいおしゃべり。子供たちは九を無くしたまま喋り続ける。

同じようにABC。

数年が経って、当たり前のように子供たちが死んで、住居の中で、木造の一つの住居の部分の恐ろしく隠されている中で、あたらしい大人たち。

階上から、旧型ファクシミリの起動音。家が細やかに揺れて、ごーっ、ごーっという音が聞こえてくる。さささ、ささささ、二階から溢れ出た熱っぽい紙が、次々と階段を滑り降りてくる音。ばたん、ばたん、ばたん、ばたん。これはいきものが五回跳ねて落ちてくる音。今のはサービス? 初めての発音。電話番号は一部欠損している。

同じように皮膚。

地下。ゆっくりとタービンが回っている。きゃっきゃっ。ごーっ、ごーっ……


自由詩 いたいけな子供たち Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-07-27 14:50:15
notebook Home 戻る