この皮膚がなければ
たりぽん(大理 奔)
皮膚が邪魔だ
熱だけが祭りのようで
街灯までが青白く貫く
ああ、皮膚が邪魔だ
この世界と私を
容赦なく隔てる
この外套を捨て去ってしまえば
多少は見苦しい液体を
ばら蒔くかも知れないが
それで大地に還ってゆける
愛情も欲望も虚構も真実も全て
ぶちまけて染みこんで
少しだけ乾ききらない汚れから
小さな草が芽生えたら
それが
果たすことのできる
たったひとつの約束
誰も傷つけず花を咲かせて
今度は、綺麗に散ってゆけ
この文書は以下の文書グループに登録されています。
葡萄白書