黒川排除 (oldsoup)

誰が湿らせたかご臨終ごっこ

待て落ち着けそいつはほんとに美女なのか

話しだすとつとつとつとつヘリが来る

あ と思うより他のない傷があり

月を打つ音悲しくて水面立つ

「今日は宇宙ご飯よ」と墨をかける母

誰も買わないため息を吐き虚ろ

月へ行けわたしに一万円をくれ

「東京」という歌の題名に飽き

説教を時給七百円で聞く

あと三発殴らせてくれと土下座する

窃盗で錦を飾る地方記事

核家族財布とボタンを握る妻

クレジットの明細ドットコムの文字

妄想で坊主の頭に尻を置き

その上を誰が切っても似る桜

ポケットを叩くとたわしが増えていく

ふたを開けぞっとしているのに閉めず

弄してもやはり身に付くのは詭弁

変わりゆく季節の中に沈む石

給料の三ヶ月分の豆腐だよ

夕暮れに向かって流れて行くボール

会社から主人の首がクール便で

カーテンを着て朝と夜の境目に

盆地に横たわる死体を川と呼ぶ

橋脚のように足首まで浸かる

掘り返された土の向こうで匂う川

草群れて沈む売物件の文字

白骨の軽さ 生前100キロ超

領域を広げてコンクリートの夏

邦人の安否と今日のカレーの具

寝て起きて食ってふしだらここに在り


川柳Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-07-18 21:48:57
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