雨粒のハインゼンベルグ
たりぽん(大理 奔)

驟雨だ

突然、空が明滅し
絞らないままの雑巾が
今の私

打たれてはじめて
体温に気付く
人間はそんな生き物

百貨店に駆け込み
ぬくもりを求めても
空気圧縮機がはき出す冷気に
思考が停止する

おそらく
このまま全てを閉じてしまえば
世界は失われ
世界は私を失い
少しだけ変わっていくのだろう

私という認識が、他の誰かと認識し合う
本当に自然な不確定性原理
同時に計ることの出来ない
あなたとの距離と想い

そうだな
どうせ全てが
私の勝手な認識ならば
このはげしい雨に打たれて
世界が
・・・・を取り戻せばいい



水たまり
捨てられて崩れた煙草
その向こうに空

水銀に溶かしたように
季節の変わりを
告げる





自由詩 雨粒のハインゼンベルグ Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-07-15 21:35:45
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