トーキョータワー
霜天
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込ませながら
僕もやっぱり
間違えている
いつも繋がりながら滞っているこの場所で
どこが先頭かなんて誰もわからない
よく見る、少しうなされそうなあの夢も
いつかはここから飛び出していくとして
僕らがあと何周で滑り込めるかはわからない
回る回る回る、回る僕らは
僕が先頭で君が最後尾かもしれないと言えば
君は怒りながら、笑いながら
区切られた空の端から、少しずつ零れていくだろう
広い、どこまでも広い通りの次で
十五番目の角を右へ曲がる
昨日、少しだけ空が割れた
突き刺さったタワーの天辺から
明日が漏れている
その下では虹が見えた
遠くて、はっきりとした色だった
今日は水色の服を着ていた
追い抜いていく人は、知っている顔だった
東京、遂に天まで届いたタワーの下で
昨日使ったさよならを、知らないもののように見送りながら
十七番目の交差点を左折して僕らは
やっぱりそこで
間違えている