冬眠
こしごえ
チョコレート
チョコレートの包みを
あけたのは
退屈なカエルが
土の中から這い出て
鳴いたから
スカーフ
ほめたら
白髪まじりの
老婆がくれた
紫色の
スカーフ
啄木鳥が「よろしよろし」と
木をつついています
スープ
溜息まじりで 煙草の煙を吐きました
食パンちぎって南瓜のスープに浸します
年輪をかさねる
木々のうたをききながら
サーカス
猫が一匹
こたつで寝てた
或る深夜
猫は
あの世へいって
いまじゃ
庭に埋まってる
サーカス小屋では大騒ぎ
青
丸い月を
烏がほじくっている
月はやせて
青白くなる
死のニオイより生のニオイが
かくれている
生あたたかい
夕べ
冬眠
うつろな目をした
少女がいった
「雪でやけどをしたのです。」
全身 結晶の跡がついている
カラッと晴れた 青空に
おちていく
個人サイト「As H System」
詩集「遺伝子」掲載