罪と罰 
兎乃 しずる

もう、君には触れられない・・・
僕の手は穢れてしまったから。

辛くて、苦しくて、逃げたくても、敵わない。
時が元に戻るのならよかったのに。

だけど、そんなことはありえない。

嗚呼、この世に神がいるのなら
僕の心に少しの休息を。
穢れた僕の手に
魂の安息を。
心の悪魔を切り裂くことのできる
光の聖剣を。

泣くことすらできずに、罪という足枷をつけて生きていく。
少しの間の休息でさえ、今は遠い・・・

君の手に触れることはもうできない。
白い君の手に触れられないのは、僕に対する罰だから。
指を絡めることのない僕の手や体、命はもう少しであちらにいく。
これも、僕に対する罰だから。

穢れた僕の犯した罪と
この先に待っている罰。
悲し気な顔を見せないで、笑って見せて?
その君の笑顔こそが、僕の女神なんだから。

痛いくらいに蒼い空。
僕は女神に見守られて旅に出た。
もう君の顔を見る事はできないけれど、
君の笑顔に救われた気がしたよ・・・

ありがとう。
もう届くことのない言葉を君に。


自由詩 罪と罰  Copyright 兎乃 しずる 2005-07-06 17:45:09
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