海がきこえる
なるせ

「ぼくはあなたを愛せない」

思いつきで口走った台詞を、
その指先は、どう受け止めるだろう。

気付いていた。
もうずっと前から、知ってた。

「なぜなくの」

ぼくの目は、色を、映さない。
ぼくの目は、青を、しらない。

「ねぇ」

ぼくの涙は、一体、どんな色をしてるの。

「そばにいなくていいよ」

かなしくなるから。

「あいさなくて、いいよ」

愛せなくなるから。


自由詩 海がきこえる Copyright なるせ 2005-07-05 14:12:44
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