デッドフォーム
黒川排除 (oldsoup)

わたしは知らないものについて綴るとき わざわざ紙を用意しない はさみや鉄 雑木林に生息する昆虫 組み立て式水槽 撃ち殺されたすずめのなきがら を組み立てることを考える間 わたしは決して知らないものについて綴ろうとするときを必要としない 突然の銃撃だったそれは 語るべく言葉も無く こめかみから脳を貫いて 脳は銃弾のことばかり考えるようになる システマチックとよばれたライフスタイル 女どもがしたいキッチンへの篭城 境界線を引いてくれはしまいか 室内に運ばれたテトラポッド それがどうやら境界線らしく わたしは絶えずぶつかっている だが本当の 本物の水がやってくるいずれ の前に逃げなければならない ジャンジャックルソーの響きの心地よさで階段は上れるか 無理だよと言って段上からわたしを蹴飛ばす少年 回転しながら落ちていくわたし 回転するのは銃弾のことばかり考えているからの 床を撃ち抜くわたし だが既に溺れているように見えて その実水槽は空っぽである わたしは空想の水遊びから抜け出る 濡れた髪濡れた衣服濡れたテトラポッド 濡れた玄関に濡れたジャンジャックルソーの死体らしき いや誰だろうこれは わたしはわざわざ紙を用意しない わたしは鶴しか折れないんだ!


自由詩 デッドフォーム Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-06-30 00:38:13
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