ホームレス
恋月 ぴの

何故かホームレスは街に棲む
しょざいなげに地下道に
初夏の花咲く公園に彼らは居る
両手いっぱいに袋を下げて
おきまりのレゲエ状態のヘアスタイル
かの国でも何故か彼らは
ショッピングバックを両手に
下げているらしい

あの袋の中には
彼らの全財産が入っている
あの袋の中には
彼らの希望が入っているのかも
知れない

もしかすると
誰かに声をかけられるのを
もしかすると
誰かに助けられるのを
彼らは待っているのかも
知れない

虚ろな瞳の先には
美味しそうなコンビニの
期限切れの弁当
では無く
誰かの垂らすくもの糸
が見えているのかも
知れない

テレビで彼らの生活ぶりを
取材した番組を見たが
押しなべて彼らは良い人らしい
つまり
良い人は皆ホームレスになる
可能性がある
善男善女の明日は
ホームレス

もしかすると
誰もがホームレスかも知れない
帰る家が本当にあるのか
一夜の雨を凌ぐ為
魂を誰かに売ってまで
ひとときの安らぎを得ているのは
自分を騙して人を騙して
心から文無しなのは
もしかすると彼らでは無く
わたしたちなの
かも
知れない


自由詩 ホームレス Copyright 恋月 ぴの 2005-06-29 18:49:40
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