風に揺れる枝が言葉ならば
たりぽん(大理 奔)

梅雨の夜風に混じり込む体臭の湿気
雲にまいた砂混じりの渇いたため息
無気力にぽっかりあいた満月の
光子すらはらんで
みな本当の風を知らない

それらをすっかり失われた
古代の技術で精製して
純粋な光に戻したら
どんなにか 白く、まぶしく光るだろう
どんなにか 彼方を見通せるだろう

それらの現象は、言葉と同じだ
体という季節から発せられた
まぶしい光の集合に
あらゆる湿気や
ガラスの破片をはらませて
ただただみんなを傷つけていく


あなたと待ってみたい


この季節が移って
誰もがあさつゆのような
言葉を持ち
はるかそびえる
あの山稜に
光るこだまを
かえす日を


自由詩 風に揺れる枝が言葉ならば Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-06-29 01:32:28
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