恋愛死
恋月 ぴの

誰かに
みせつけるように
差し出した
蒼白い手首に残る
ためらい傷一筋
取れかかった瘡蓋
赤い傷口に
鈍く光る刃先

何故に
ためらったのか
死の際で垣間見た
希望と言う名のまほろし

もしくは
生きる本能に妨げられて
こめたはずの力が
するりと抜けて

あるいは
都合の良い言い訳を
はじめから
用意していたのか

死に損なった
この街で
うらべだらけの
ぬくもりに抱かれ
絶望と言う名の
朝がはじまる


自由詩 恋愛死 Copyright 恋月 ぴの 2005-06-28 22:12:07
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