車輪
ふるる

銀の柄を握って
車輪を回していました

沢山の貝が車輪の下から生まれてきたので
焼いて食べたり
髪に飾ったりしたのです

髪は細かく編んで
魚を獲るのにつかいました
魚のヒレはいつまでも
ぴかぴか光っていたものです

夜には
濡れた髪はずっしり重く
もう朝など来ないように
思えるのでした
朝はすぐ裏側で
楽しく歌っていたのでしたが

ダイヤの柄を握って
車輪を回していました

幾千粒もの星が車輪の下から生まれたので
煮て食べたり
目にはめたりしたのです

目はまばたくたびに
万華鏡のように
見えるものが変わっていつまでも
ぴかぴか光っていたものです

朝には
目がすっかりくらんでしまい
夜のことなど忘れていましたが

夜はすぐ後ろ側で
永い永い物語の続きを
思い出していたのです



自由詩 車輪 Copyright ふるる 2005-06-27 14:51:34
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****印象詩っぽい*****