凪の風の中で
もこもこわたあめ


「・・・・何にもないね・・・・」
「・・・・うん、何にもないね・・・・」

枯れ果てる直前の海はただ広いだけで
船も浮かんでいなければ、海水浴の子供たちもなく
鴎の鳴き声も聞こえなければ、魚の泳ぐ水音もない
ただそこにぷっかりとあるだけの海

・・・・ちょっと興ざめ・・・・

「・・・・なんか浮かべてみようか・・・・」
「・・・・うん、なんにする?・・・・」
「・・・・この朽ち果てたって感じの葉っぱなんてどう?・・・・」
「・・・・うん、いいとおもうよ・・・・・」

君の浮かべた葉っぱはぷっかりとその身を水面に預け
不規則に、中途半端なやじろべえのように
ゆれているだけ

・・・・くるり・・・・

「・・・・行こう・・・・・」
「・・・・うん、行こう・・・・」

もはや枯れ果てた海と生気に満ちた葉っぱやじろべえ
踵を返した僕らはその姿を見ることはなく、砂漠を歩く
存在意義を見つけるために


20050620




自由詩 凪の風の中で Copyright もこもこわたあめ 2005-06-20 23:06:15
notebook Home