こしごえ

ヒトに生まれてきたのでした

死を放った放物線に
何も絡ませる事も無く
時の歪むのも構わず
日を含んだ風に戦ぐ葉に
影をゆらす

私が揺れている
火の声を聞くようになってから
いつまでも
落下していく放物線は
無邪気に 時刻をたずねる

死は質量をもたず
ニオイの無い自らの影へと
落ちゆく花びらに似て
絶対的に浮きあがり
そこに時が咲いている

星が遠くで声をあげ
光に満ちた曇天に
雨の匂いを裏づける
記憶はどこまでも失われ
私は
 またここにいる

秘め事をひそませたまま

とひとこと まばたきをする




     
個人サイト「As H System」掲載


自由詩Copyright こしごえ 2005-06-18 04:23:41
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