そうして積もっていくのなら
nm6

車の走る音が聞こえていて、「くらい」と「くろい」の境目をさがしています。光る点は、ぼくは、時間とは。かすかに白がぼやけて湿らせた夜、ゆら・ゆれるあふれをせきとめるようにして、すれ違う日々/人々をなぞり。あ、「くらい」と「くろい」の境目は、たとえばきみと夜闇との間、つまりはその輪郭なのでしょうか。思い巡らすトレース、その高らかな行きつ戻りつ。たとえばいつかの渋谷交差点の午後を振り返るにしては、直線でゆっくりと繋がりゆくイメージの、そら浮き上がる誰かのいま/どこかで、を。ようやく、も見えないのです、延々と。




すでにゲームは始まっているのに、ぼくはスタートから逃げ続けているのです。




この本の中には未知があるとして、「わかる」と「さかる」の境目をさがしています。燃える点は、きみは、官能とは。かすかに色褪せてカビ臭い文字、ぼくらを飽くなく生かすのはイメージで、触れ合う日々/人々をなぞり。あ、「わかる」と「さかる」の境目は、たとえばぼくと地面との間、つまりはその怠惰なのでしょうか。思い巡らすトレース、その密やかな行きつ戻りつ。たとえば猫は世界で未知で、ぼくは夜から逃げていきます。内側から出てくる自然、働きかけてくる外側に退屈しないぼくのいま/ここで、を。ようやく見えてきてそれは遠い。延々と。




ぼくらは、考えることをやめずに
ただ/
   それらは    きっと いつか
   どこかで→どこか、へ
街へ溶けて消えたように装っているのです。
     始まりは知らずと、やっとのことで世界に触ります。
それとなく「カモン」と働きかけるもの、もの、もの、
     思い出す、


そうして積もっていくのなら。









車の走る音が聞こえていて、「くらい」と「くろい」の境目をさがしています。「わかる」と「さかる」の境目もさがしています。常にぼくらはさがしています。遠い夜と/近い誰かと、思い巡らすトレース、トレース。直線でゆっくりと繋がりゆくイメージの、そら浮き上がる誰かのいま/どこかで、を。内側から出てくる自然、働きかけてくる外側に退屈しないぼくのいま/ここで、を?そう、たとえば渋谷、交差点の午後。すでにゲームは始まっているのに。


自由詩 そうして積もっていくのなら Copyright nm6 2005-06-15 00:38:05
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