朝のブランマンジェ
たちばなまこと

今朝
彼女はブランマンジェ
ねぼけまなこ ねがえりのような相づち
ひばりの上昇にのっかって ざわついている私の毛穴
素肌は 夏の掛けぶとんにくるまれた甘味
横たわる小柄な肢体は きっと
やわらかくしなるだろう

涙袋をつつく指腹に 指紋の感触
のぞきこむ猫目には 罪を知らない罪深さ
猫真似...あくびに鼻をならす
太陽の帯とじゃれ合いたいのって
雨戸に手を掛ける 無防備な背中に
焦がれすぎても幸せ
逃げる足首を掴まえて 胸元に手招く
誘いこんで耳に流す ぬくんだ水分

彼女は私の下
鎖骨にシロップみたいなおしゃべり
重さが欲しいのって
囁いては泣いていた夜 もうここには無い
私は赴くままに 彼女に沈むことが出来る
...まつげの先は細いね

あなたが発する命の証なら
みんな みんな好きなのって
おもちゃみたいに小さな手が 背筋を追うから
お返しにはそっと笑って 赤ん坊の真似
朝冷えの 脂肪にほほを寄せて上目遣い
ベイビーフェイスのマリアがいる
ひばりみたいに昇る 彼女の息を
ききたくて
唇をおろす...ブランマンジェ


自由詩 朝のブランマンジェ Copyright たちばなまこと 2005-06-13 22:23:14
notebook Home 戻る