うるおう
カンチェルスキス
ていねいな言葉をかさねて
だれがぼくの心を知るだろう
ひからびたぼくの腕の中で
目を覚ました人が
夢を見るのはもういやだ
と言いました
さめたぼくの瞳は
まばたきがうまくできないほど
遠くで揺らぐ炎を見つめ
ぼくの瞳の中に
炎を見つけた
その人は
ふたたび夢見るように
眠りました
時計の針がうごくかたちと
水槽の中であるくように泳ぐさかなのかたちが
音となって
聞こえてきます
やがて
ぼくらの寝息が
うるおう
自由詩
うるおう
Copyright
カンチェルスキス
2005-06-11 19:12:31