弾丸
カンチェルスキス





 雨に濡れて光る電車の中の床が
 消えそうになるほど
 綺麗に見えた/
 弾丸
 車窓を撃ち破って
 黒塗りの天使の額を
 貫通する


 後頭部くだけた
 液体の味だ
 毒ガスで足の痺れた爪先を
 自分で切断するときの
 無邪気さだ
 折れた歯を手のひらで
 転がす


 売却した生命






自由詩 弾丸 Copyright カンチェルスキス 2005-06-08 17:55:28
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