室町産業紫敷布株式会社
洗貝新
お~い!真紀~三浦くん来たぞ~
玄関口に出てきたのは主の恭平だった。
『プッチンぷ~りぷり、イエ~い!』
腰をふりふり、Vの字を指して台所から真紀が現れた。
こんにちわ!
~やあ!元気にしてるかな。
はい、至って元気ですう。
~君じゃないよ。会長のほうだよ。
え!あ、はい、父も元気なようです。
笑、~きみにはどうも話しが見えてこないな。父上は逃亡してるんだろ?
~よお~もういいからスイート。ハニー早くあがんなよ。
~まあまあこの娘ったら、笑。
母親の早苗が布巾で手を拭いながら台所から遅れてやってきた。
どうも、この度はこちら様にもご迷惑をおかけして、
~いいのよ。その話は、さあっどうぞどうぞ、
※三日前のことだった。
早苗さん、なんと言われようと、それは仕方ないんだよ。社長が株持って逃亡してるだろ?
引退したわたしじゃ権限も弱いんだよ。イギリスから雇ったティムラはケツメイシを蹴ったんだよ。もうど~しようもない。
~会長、室町会長、辞めた黒上さんや専務の田中さんになんとかお願いできないものかしら…
ああ、だが、彼らはケツの穴が狭いからね。向こうが納得するかどうか、聞いてみないことにはわからない…
~向こう側って、会長、丸投げ産業のことかしら?
うむ、淳二は果実のことで丸投げ産業の敦盛を嫌ってたからね。
~果実って、例のケツメイシの言葉柄を丸投げにしたとかいう
布印刷機不正談合入札のパーティーのことでしょうか?
そのとおりだよ。はやくから花岡興産と話をつけとけばよかった。
悔やむよ…
~会長。室町会長。わたし、身をこなにして、働いて働いてなんとか取り戻したいと思ってますのよ。
高市は室町の眼をじっと見つめて身体を近くにすり寄せる。それから徐に室町の手を握りしめた。
~会長、ねえ会長、わたし、今日は帰らない覚悟でやって来ましたのよ……
ところで三浦くん、父上から何か連絡はないのかね?
ええ…三浦はしばらく下を見つめて黙っていた。
ねえ、カラオケ行こうよ。カラオケ天国。わたし、海さんの曲が歌いたいわ。それからりゅういちさんの新曲も聴きたいし。
おまえは、呑気でいいなあ~天才だよ、笑
恭平は含み笑いに真紀を見つめる三浦を見やった。
二人の婚約は黒上の一言で解消されるかも知れないな。
問題は事が発覚して廻りがどう受け取るかだ。
真紀はふざけて三浦の脇の下をくすぐっている。
~いやん!やめて~やめて~
三浦は真紀のくすぐり攻撃にあってイヌのようにはしゃいでいる。
その度に紫色のソファが音をあげてずれていく
株の前に先ずドメインを止めることだな。
恭平は立ち上がり携帯を取り出した。
もしもし室町会長ですか?突然すみません、高市です。高市印刷機の……