星のゆらめき
atsuchan69
月明かりの部屋、
カーボンの床を突き破って生えた
碧く生暖かい枕の木。
その果実を捥いで、
甘酸っぱい夢を見る
波打つ、
シルクの海にうかぶ
光る帆の
真夜中の船たち
星までの距離を想い、
夢から夢までを
光跡をなぞって翔ぶ
視界速度で走る
蒸気式の
夜の群れを
後方に見送り、
舵を取る
毛むくじゃらの腕には、
青銅の輪が食い込む
渇いた唇と舌に、
スパイシーな赤い砂が馴染む
いつかの旅の記憶が、
紙細工の船の
透明な翼を舞い跳ぶ
破れた尾翼の亀裂を覆う
光り蠢く酸素虫が、
隙間を繕った
灼熱の太陽が
船外の遮蔽版を焦がし、
アルミの窓は
秒針の焼ける音を伝える
撓る時空が、
眩しくゆらめいた
夢の外側で、
冷凍キャベツと
瓶詰めの豚バラ肉を使って
誰かが、
香ばしいソース焼きそばを作る
隠し味は、
舌を刺す赤い砂だ
高周波加熱器のなかで
白い火花が散った
そして木の葉が一枚、
シルクの海に落ち
碧い肌を抱いたまま
スパイシーな赤い砂の味が
まだ、
酸っぱい舌に残る
ゆらめきは醒めない