ロマンのうた
秋葉竹
手を握り
海岸線をふたりゆく
春は名のみの風に吹かれて
背をだいて
もう悲しみも棄て去った
夢の影絵の胸にいだかれ
あといちど
最後のうたを聴かせてと
祈った瞳がキラリ光った
海原を
綺麗な鱗がゆくらしい
涙を流した宝石みたいな
ただ君の
うたが音符にみえたから
春の海ゆく風に吹かれて
あといちど
あの夜の声を聴けたなら
僕はただ鳴く鴉に戻るね
深海に
射し込む月はキスのよう
シーラカンスを進化させそう
あのうたが
風に流されこの街で
たゆたうのなら幸せになる
あたたかな
春の陽射しがこの街の
眠りを覚ますガラスに反射し
ひらひらと
葉っぱみたいに言の葉が
舞って地に墜つそして消えゆく
やわらかな
瞼のうえを飛んでいる
一羽の蝶に伸ばす君の手