人間の暴力的残虐性は詩に現れる/三浦果実『ディアハンター』
室町 礼

今回は趣をガラッと変えて、
"批評の力"というものが、どこまで作者の異常心理に届くか?
というテーマでやってみたいと思います。

三浦果実「ディアハンター」
https://note.com/multiple_out/n/n24440f9560d1?magazine_key=m5c9b3b141bdc

三浦果実という人物が書いた詩ですが、本人は詩らしい作品
を一つぐらいは残しておこうと思い立ってnoteに発表したと
冒頭に語っています。
なぜこの詩を批評に選んだかというと、作者の虐待的異常性
が顕著に現れている典型な詩だからです。本人は著作権を放
棄しているとネットで断言しているので全文を引用しても構
わないでしょう。(しませんが)
まず、一連と二連。

  ディアハンターは鹿を狩る
  鹿を狩ることが楽しくてしかたがない

  森に流れる川が雪で埋もれる
  水面の雪が多く集まる場所では
  清々しいが散見され
  ディアハンターは清々しいを楽しむ
  鹿はそのことを知らない
  餌を探しながら
  水面へ近づくと
  表情が豹変したディアハンターが銃を構え
  パシュンという音
  雪に埋もれて息絶えれば
  鹿は幸せなんだけれども
  ディアハンターの満足な手柄になって
  引きずられてゆくんだ

さて、これをどうせよというの? と少しは詩を書ける人、
読める人なら、途方に暮れるでしょう。
比喩や象徴、あるいは転換──つまり語りの飛躍がほとん
ど存在しないからです。
アレゴリー(寓話)として書いたからといってそういうも
のが必要ないわけじゃないのです。寓話は「隠された意味」
ではなく、表と裏の物語が同時に生起して互いに連動して
動いていくから寓話なのであって、鹿=無垢、狩人=暴力、
子ども=犠牲、召集=戦争の不条理といったわかりやすい
貸し借り対照表ではないのです。このアレゴリー詩?は、
全部が状況説明と説明的叙述で構成されている。だから、
読み手としては作品にこころをつなぐ場所がない。ガラスの
ように平板でつるつるなのです。まるでまだ、世界を知らな
い未熟な精神の幼稚園児か小学生低学年が書いたような錯覚
すら覚えます。
いや、それは書き手の精神の単層性がもたらすものではなく、
初期的な詩の技術が未熟なせいだという方もいるでしょう。
そうかもしれません。
しかし本人は自分は詩の達人であると称している。

  あなたは他人の詩や記事を読みますか?私はけっこう
  な量を読んでいます。それはネット詩で鍛えたので。
  特に知人でも友人でもない他人の作品を私は7年間読み
  続けた。多い時には月に200作品。他人の作品に書いた
  コメントの数は2,300コメント。なかには3,000文字を
  超えるものもあった
     (『あなたは嘘をついている』三浦果実)
   https://note.com/multiple_out/n/na8093b9e11b9?magazine_key=m5c9b3b141bdc

これだけの方ですから、この、『ディアハンター』という、
"作者の内面がどこにもない"詩を、練達の詩人として「これ
はあまりよくない詩だ」と洞察できるはずだと思うのですが「褒
められた」自信の一作だと語って公開している。
これはどういうことか?
いや、まてよ。ひょっとするとこれには深いわけがあるに違い
ない。もう少し分析?(というほどのものでもないですが)を
進めましょう。さて、三連。

  鹿の子どもたちは
  水面の先で
  キラキラと清々しいを食べながら
  なにも知らずに
  迎えない春の訪れをずっと待っている

ここまでくるとこの詩にある一定の方向性が見えてくる。
この詩は「何も知らない」鹿をいたぶるような描写ばかりです。
結論からいうとこの詩は「無垢な存在」を置き、それを破壊する
構造になっています。
何も知らない鹿、何も知らない子ども、何も知らない若者という
“無垢な存在”が繰り返し登場し、そしてその無垢さが必ず“破壊
される”方向で語られる。
これが、この詩の本質であり、この詩の作者の精神的な病理です。
上に挙げた同じ作者の『あなたは嘘をついている』にも本人がこう
書いている。

  作品もコメントもすべてを古き良き思い出にするために私は
  ビーレビを爆破(完全削除)するつもりでいたのだから何も言
  えんが、外的要因によって自作品にもらった読者のコメント
  が消される。それはあり得ることで、なんちゃらブログサー
  ビスが終了しますってなれば問答無用で消えることは当た
  り前にある。

実際、この男は昨日、生活している人々のいるアパートの電源ブレー
カーを大元から突然、切るような真似をしでかした。
ビーレビという投稿サイトがこの先、5月頃には閉鎖される予定であ
ることは運営から聞いていたが、まだ初心の投稿者が投稿してコメン
トを書いている最中に突然、掲示板を閉じてしまった。
しかも運営でもないこの男が運営に「今すぐ投稿掲示板を閉じろ」と
命令し、アホでもあるまいに運営が「はい」といってじっさいに
一切のコンタクトを切ったのだというから運営も幼稚だし考えられない
ような暴力性だ。だが、
これがこの三浦果実という男の精神的な病いであることをこれから
かれの詩の分析を通して明らかにしていきたい。

この詩では、何も知らない鹿、何も知らない子ども、何も知らない若者
という“無垢な存在”が繰り返し登場し、そしてその無垢さは、必ず“破壊
される”方向で語られることは指摘した。
つまり投稿サイトを信じて投稿している初心の若者たちを突然遮断した
行動とまったく同じ円心上の精神的異常さをもつ詩である。
これは文学的にいうと典型的な虐待の構造で、それは「支配できる対象」
を創り出し、その破壊を描くことで自分の無力感を補う語り として現れ
る。
さらには、虐待的異常性につきものの、作者の唯一無上感覚がそこにある。
鹿は知らない、子どもは知らない、若いディアハンターは知らないという
ことばの反復は裏を返せば「オレだけが知っている」ということになる。
つまり、掲示板を突然、遮断する無上の支配者としての感覚と同じくオレ
だけが突然、掲示板を遮断する"とき"を知っているという支配者意識
に近い。ひょっとして三浦果実氏は昨日、掲示板をシャットダウンしろ!
と何でも命令に従う運営に指示した直後、快感のあまり身悶えしていたか
もしれない。
しかし、まだ精神が未発達ならともかく五十過ぎにもなって、

  鹿の子どもたちは
  水面の先で
  キラキラと清々しいを食べながら
  なにも知らずに
  迎えない春の訪れをずっと待っている

はないだろうと思うのです。
まさか、「ベイトソンのゆでガエル寓話」をなぞっているとは思いたくない。
もし、そうだとすれば、その模倣の安易さが、あまりにも低劣すぎる。仮に
「ゆでガエル」の寓意を模倣しているとしても、構図が示す残虐な精神性は
子どものような精神の単層性からきているともいえるのですから、責めるわ
けにはいかないでしょう。
じつはわたしは何年もむかしにこの作者は「詩が読めない、書けない」と見抜
いて、それを当人に面と向かって告げたことがあります。
相当ショックだったらしく、それ以来、この方から憎悪の対象として目をつけ
られていたようです。というのも、この作者からネット投稿板への憎悪を抱くよ
うになったのは「全部、あなたが悪いのだ! あなたのせいだ!」と告白を
受けたからです。正直、反省しきりです。五十すぎとはいえ、精神がまだ定ま
らない"無垢な子ども"に批判なんかするべきではなかった。

さて、まとめてみましょう。
作者の三浦果実氏はこの詩を「アレゴリー(寓話の手法)で書いた」と語って
いる。しかし、寓話の手法で書かれた詩は、実はもっとも作者の支配欲を転写
しやすい構造をもっている。寓意という形式そのものが、「語り手が世界の意
味を一方的に決める」 という構造を内包しているからです。つまり作者の無上
唯一感をモノガタリに転写するのに向いている。
本来、寓話というのは、少しむつかしい表現になりますが、
表面の物語(鹿・狩人・戦争など)が別の抽象的意味(罪・無垢・暴力・救済
など)を自然に喚起する構造を持つものをいいます。
つまり、物語の進行そのものが比喩の運動になっている。寓意は「隠された意
味」なんかではなく、二重の意味が同時に動く構造だから寓話なのです。
たとえば、
表の物語として「旅人が暗い森をさまよう」という表現があったとき裏の物語
として「人間の魂が迷い、救済を求める」という物語がそこに二重性を帯びて
張り付いている。この二つが 同時に動くのが寓意です。
つまり、表の物語を読んでいると、裏の物語も自然に立ち上がる。
ところが三浦果実氏がいうところのこの「アレゴリー」詩?は物語ではなく裏
にある意味を一対一で説明してしまっている。
鹿=無垢、狩人=暴力、子ども=犠牲、召集=戦争の不条理。だれにでもわ
かる貸し借り対照表みたいな、あざとい説明があるだけで物語は立ち上がら
ない。語り手が“裏の意味”を一方的に決める構造になっている。
寓話にある多様な解釈性が消えて、書き手の一方的な「こう読め」が色濃く
漂い寓意を使って読者の自由を奪っているのです。
そしてそこに自らの暴力的虐待性をしのびこませている。
ああ、こんな男の詩の分析のために2時間も使ってしまった! 
残り少ないわが人生の貴重な時間を!
なってこった!


散文(批評随筆小説等) 人間の暴力的残虐性は詩に現れる/三浦果実『ディアハンター』 Copyright 室町 礼 2026-02-23 03:45:28
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