いろは
唐草フウ

雨水すぎて
空に湧き出したひだまりの実生が
久しぶりにとっても、眩かった
爪先ほどの春を
芽吹いたさいぼうの菜を
並べて調理する
ふかふかする国防色の服を着ながら


どこへ行けば
充実を拾って、買って
胸に射し入れられるだろう

 どこにもありません)

 どこにもありはせん)


居留守の電話をずっと
鳴らして迷惑をかけていた
でも新しい報せを
教えるためには
そうするしかない
私たちは生き延びようとするだけの
埋めこまれた種だ
これ以上発芽するとは限らない年数


爪先ほどの春を
最初に見つけた時
同時に枯れ消えた膝の下へ
照れることの許される幹へ
戻れない誰かの叫びのほうへ
泣きながら駆け寄りたくなった











自由詩 いろは Copyright 唐草フウ 2026-02-23 01:34:02
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