春一番
伊藤透雪

南風が一気に吹き
布団を引きはがした

パジャマがバタバタと捲れ
下着までパタパタ
引き出しが
ガタガタ言っている

玄関扉が強く引かれ
掛けてあるジャンパーを
舞い上げ
帽子の山が崩れ
クローゼットが飛んで
ボタボタと服が落ちてきた
靴箱の扉も剥がれ
冬靴が巻き上がり
スニーカーだけ残ってる

出よう
外へ出て
日を浴びて
歩いて
歩いて

嵐の音に
飛び散り広がる
春の声
花が咲くよ
梅を見に行こう
服を着替えて

薄暗い部屋が
バラバラになった
晴れの見える窓だけが
カーテン越しの
姿見を残して


自由詩 春一番 Copyright 伊藤透雪 2026-02-22 12:46:00
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