ウミガメモドキのスープ
紀ノ川つかさ

「ウミガメモドキは何をあんなに
 悲しんでいるの?」
 アリスはグリフォンに尋ねた
「みんな彼の想像だよ
 本当は何も悲しんじゃいないんだ」

ウミガメのスープは海の味
ウミガメモドキのスープは子牛の味
子牛を使っているから
でも何も知らなければ
それも海の味だと思ってしまう
ウミガメは希少なもので
だいたいみんなが飲んでいるのは
ウミガメモドキのスープ

これから投票所に行って
戦争を止めてきます
(#ママ戦争を止めてくるわ)
戦争は血の海だ
でもどちらも逃げなかった
逃げられなかったというか
逃げたら敵に家族が殺されると
思わされていたので
家族のために逃げなかった

ウミガメモドキのスープ
ゆうべのスープ すてきなスープ!
ゆうべのスープ すてきなスープ!
それは子牛のように無邪気で
それは子牛のように未熟で
それは子牛のように愚かで
でもそれを海の味だと思っていた

戦争は嫌です
戦争は怖いです
戦争になりそうです
戦争に巻き込まれそうです
戦争に子供たちが連れ出されます
戦争になりそうなので泣いています
戦争になりそうなので毎日嘆いています

「あの人たちはかわいそう
 あんなにも戦争を恐れているの?」
 アリスはグリフォンに尋ねた
「みんな彼らの想像だよ
 本当は戦争が起こるなんて
 少しも思っちゃいないんだ
 ウミガメモドキが
 泣きながら海の話をするようなものさ」

 でもアリスはウミガメモドキが
 悲しみ嘆く様を見て
 自分も胸がつぶれる気持ちになったことを
 思い出していた
 
ウミガメモドキのスープ
ゆうべのスープ すてきなスープ!
ゆうべのスープ すてきなスープ!
ゆうううべのスゥウウウウプ
すてぇええきなスゥウウウウウプ!


自由詩 ウミガメモドキのスープ Copyright 紀ノ川つかさ 2026-02-15 17:35:54
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