雪子
月乃 猫




― 大人になったら、
 
  雪になって
   母さんのように空を
   飛びたい・・・


粉雪が舞う 
雪ん子
少女は、眩い銀の髪、
白い肌が愛らしい子になった


期待される
子どもらしさや 無邪気さ 
うらやむ
知識や常識と、
価値を測る尺度を、
置き去りにする そんな子で、

ひどく
細い声が
心の琴線に触れ
悲しみか 孤独かそれを、
思い出させる

めぐり合う
煩わしい者に 心を許さず、
虫や動物や鳥たちとの会話をたのしんでいる
不思議

暑さに弱く、
寒さを愛した
触るものを 凍らせる特技は、
母親の伝授で
夏の氷に重宝がられた

ある夜
言葉も残さず
母親がいなくなった日、
求めるように
街をさまよい
その悲しみを 路傍におきざる


雪の女に
約束を破った、と父は自虐の想いに
涙を酒にかえる日で、子を抱きしめ

母にふたたび会おうと
雪の 山里の 小屋にすみ
雪の原をあるく 父の姿が
氷の棘となり、滲む何かが 
少女の心を暗く染める

母は、どこかでいつも
舞う雪のなかにいて
私たちをみている 
父は、それを知らずにいる


―― お父さん、大丈夫だよ
    願いは、何回したって 
    いいんだって、


今宵も
瞳をとじ
遠く白銀の山のふもと
いつか 重さを失った雪のあたしは、
雪の華の中に 母や父と暮らす
そんな夢をみる

そして それは・・・






自由詩 雪子 Copyright 月乃 猫 2026-01-31 20:46:31
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