電通的霞世界に取り込まれた現代詩界隈
室町 礼

これまで、やれH氏賞をだれが取ろうと、やれ中
也賞を誰が取ろうとまったく関心の外だった。で
もさすがに草間小鳥子さんのH氏賞受賞には苦笑し
てしまった。
現代詩の界隈も落ちるところまで落ちたかという
感慨がこみあげてくる。兆候は以前からあった。
借りにも詩人といわれる人たちでありながら、現
代の情況にあまりに盲目的であった。
日本現代詩人会の「わたしたちはロシア・プーチ
ン大統領に起因する不条理に反対し、ウクライナ
の人々の安全と平和を強く望んでいます。──」
というネット宣言をみて、顎が外れたものです。
「プーチン=悪、ウクライナ=善」というジャー
ナルな二項対立に自ら囲い込まれてどうするの?
詩人は世間一般の正義が取りこぼす「複雑さ」や
「割り切れなさ」を掬い上げるものではなかった
のですか?
巨大資本の不条理ならわかりますが独裁をしいて
いるといえどプーチンという個人の"不条理"が世界
構造をなしているわけがなかろうし。ロシア侵攻
前からずっとロシア人もウクライナの米民主党傀
儡政権によって凄惨な虐殺にあってきているのに
ウクライナ人の安全だけ求めるのもどこか視野が
不全に陥っていると思われた。
今の「日本詩人会」を覆っているのがこのように、
世界を感受する意識が停滞して想像力も倫理も失
った方々だとしても、限度というものがあるでし
ょう。
以下はnoteに公開されている草間さんが所属する
ポエトリー、リーディングクラブが掲載した詩で
す。
 「明晰夢」
https://note.com/poeticmicadrops/n/n7104369acb7d

わたしのような通俗的な感性の者にもきわめて平
易に読みとることが出来る「難解度」。これは詩
の将来にとってそう悪くはない、よい傾向だと思
う。丁度いい塩梅の塩加減の詩を書く人が出てき
た感じで喜ばしい。
しかし冒頭のこれは何だ!?

  明け方に処刑されるのは昨晩夢を語った若者
  違法だ
  過剰な夢の垂れ流しは

1960年代の学生運動の若者を取り巻いていたイメ
ージや批評的な言説から一歩も出ていない。
詩の難解度が平易であるのは歓迎だが思想やイメー
ジが昭和戦後のジジ臭い停滞から一歩も出ていない
ようでは困る。もうここでわたしは、ほぼがっかり
じゃなく、がっくりしている。
その上、
語尾の切り上げ方のこれまたジジ臭いこと!
一行目は体言止め、
ニ行目は「だ」という強勢、
三行目は係助詞「は」による余韻を残す省略!
すべてこれ既視感のあるクリシェな昭和戦後詩文体の
ジジ臭さをまるのまんま定着させている。
だれか注意する人はいなかったのか?
二連目。

  脆い骨で埋め立てた首府に築かれた
  あかるい夢の要塞で
  ひとしく口角をあげ白い手を振る
  ほほえみを返すことに違和をおぼえた瞬間
  おまえの城は傾くだろう

冒頭の比ゆ、

 脆い骨で埋め立てた首府に築かれた
 あかるい夢の要塞で

この、「体制」や「権力」の幻想性への比ゆ! の
陳腐さも現フォやビーレビやCWS並だ。笑
平易な比ゆは、平易な思想の上に書かれてはいけない。
難解な比ゆがしばしば平易な思想の上に立てられている
現代詩の世界にあっては平易な比ゆはその逆をいかなけ
れば新しい詩の意味がない。

 ひとしく口角をあげ白い手を振る

これは荒川洋治の詩の教室に通って薫陶を受けた影響だ
ろうか? いかにも、とってつけたように「くさい」。

 ほほえみを返すことに違和をおぼえた瞬間
 おまえの城は傾くだろう

これねえ、ニ連目の比ゆとの連合だから戻るのだけ
ど「脆い骨で埋め立てた首府に築かれた/あかるい夢
の要塞で」と書くのはいいけど、自分で自分が書い
た言葉をどこまでわかっているのかと首をかしげる
のですよ。だって脇からみると本人は古い昭和戦後
の権力や体制における幻想性を書いているようにしか
みえないのに、なにか現代の最先端の幻想世界を示
唆しているつもりにみえるからです。
今、わたしたちがわたしたちを取り巻く幻想性を打
ち破るつもりなら、電通的な、テクニカルに美化さ
れた詩的世界を打破することが必須であるとわたし
は思っているのですがね。
その電通的感性の権化のような詩を書いていて「ほ
ほえみを返すことに違和をおぼえ」ているとでもい
うの? 草間さまの城は傾くどころかH氏賞まで
いただいて青春まっさかりじゃないでしょうか。
現代の最先端の幻想性に違和なんか覚えてないじゃ
ないですか。
(ああ、途中でいやんなってきた、まだまだ山のよ
うに続くのですが、ビーレビにでも書ききます)




散文(批評随筆小説等) 電通的霞世界に取り込まれた現代詩界隈 Copyright 室町 礼 2026-01-27 06:25:52
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