春待ち
伊藤透雪

少しずつ光が氷を解くとき
日は滝の苔を照らし
雫が次々に湧いて輝き出す
福寿草が開き始め
タラノキが芽吹き始めたら
厳しい冬も終わり
早春の風が吹き始める

長い冬の曇り空が
晴れやかな雲に変わりだし
残り雪さえ雫に消えて
静かな森の小川には少しずつ
流れが戻ってくる
暗い森での冬ごもりを
土の中で耐え抜き
春を迎えて輝く顔が
美しいと思う

今年も春はやってくるだろう
今年の柔らかい笑みを重ねる
季節はきっとやってくるだろう

春への思いを重ねているとき
冬はまだ温かく包み込む雪を
重ねてくれるのに
人は一喜一憂している
湿気が枯れているから
喉から声が出にくいから

それでも季節は巡るのだ
明日、
人の思いを声に出さずとも
当たり前のように日は巡る
寒風の夜を超えて朝はやってくる



自由詩 春待ち Copyright 伊藤透雪 2026-01-23 14:32:01
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