祈る力
杉原詠二(黒髪)
人は壊れうるもの――
心も体も――
個人には選択することしか出来ない
祈りは現実的な力として
証明されない
己の心に向かって祈ること
たとえそれだけしかできなくても
己の選択にそれは影響する
そのように世界は回っていく
金銭的に富裕でなくても
身近な人との穏やかな関係を結べる
結局のところ人間とは
誰かと結ばれたり離れたりすることの
総体だ
従って己の祈りとは
結ばれるべきものが
川の流れの合流点で
結ばれるべきものと結ばれること
時間を越えて
生死を越えて
心のつながりが
身体を越えて
どこかで結ばれることを願う
祈りは現実をも変えていく
up and down
上っては下り
明日の足が朝日を迎えられる
その瞬間に、賭けられた鳥は、
一瞬で空を渡り
祈りをのせて飛び去る
冬の太陽が日輪を輝かせる
季節は無数の祈りをのせて
時の果てまで命を運ぶ――
悠久なる時の流れの中に
繰り返される悲劇と喜劇
冬の空は
ただ風を吹かせて雨戸をきしませる
そして誰かが、誰かを、あなたを、
遠くから、見守っているだろう