ボタ雪
伊藤透雪
冷たい雨が降り始め
帽子が濡れていく間に
霙に変わって風が吹いた
喫茶店のドアを開けて
ホットコーヒーを注文し
窓際の席でカップの温もりに
冷えた体を沈めて外を見た
暗く落ちそうな空から
強風に飛ばされるボタ雪が
吹雪いて道を濡らしている
流れず積もり始めて氷の色
珍しいものを見るような
テレビの天気予報が聞こえる
店の外に世間が見えた
関わることもない、と
思っているけれど
緩く繋がっている世間に
時々表れたくなるのは
このコーヒーのような感じ
苦くて酸っぱさがほんのり
後味が甘い世間に少しだけ
本当に少しだけ。