愛と病気
杉原詠二(黒髪)
不安なとき
寂しい時
自己慰撫をする
己のプライバシーを
守るために
私は知っている
己の壊れやすさを
だから守る
他人を守る人は
他人を愛する人は
自分を守れなかった
自分で自分を破壊しようとした
己の尊厳を守るため?
それとも壊れた心を
沈めるため?
私は他者に
己の愛を壊されることがなかった
だけれども
他者に差し出したこともなかった
のんびりとした
おぼっちゃんだったのだ
事態は急展開を迎える
病に心身を侵食され
生が成り立たない状態を
三十年間続けた
その途中で
他を愛する現実を
目にした
いままで
くすぐりの中で
触れてきた愛もあったけれど
本当の
壊れそうな命への愛を
私は自分自身にも
向けられることもあるのだ
むしろその人が
すべての生命に愛を与えているのだと
知った
そして私は待っている
病気を治しながら
病気が治ったとききっと――
私の隣に
愛し合う人と
いっしょにいるときが
くるはずだ
愛する人と別れなければならない苦しみ?
馬鹿上等
別れが怖いからと
愛することを恐れるような人間に
なるはずがない
私は
私の気持ちに
自分でしっかり
ケジメをつけるのだ
そして今までいっかいも持ったことのない
愛の関係を
この手で持つ