福袋が鳴らす鐘の音
菊西 夕座
福袋の中に幸福が眠っていたから
寝袋かよってツッコミいれても
寝正月を決め込んで突っ伏してるから
幸伏かよってまたツッコミいれたら
紅白の袋が破れて中身が半分こぼれ
幸が不在の不幸になった福のとなりに
紅が寄り添って紅福そうにしてるから
災い転じて袋なお良しかって聞いたら
アア、ソコが破れたままでよいと言う
下着をはくはくと白がわめいていたけれど
裂け目の暗部にはモザイクがあてがわれ
店員がバーコードで読むとピーと音がし
白い液が漏れているから欠陥ありとされ
交換するという申し出をやんわり断り
縁結びの神になった得意さで店をでたが
袋の紙の方は愛欲でべたべたに濡れはて
蜜のように重くとろけて底をつき破り
手元には袋の切れ端しか残らなかったが
それを顔にかぶせて福面にしたとたん
首から下がおぞましい芋虫に思われ
寝袋から抜けだすように一切を脱ぎ捨て
紅一点の太陽に向かって羽ばたいたが
一転して道端に落ちていた幸に足をすくわれ
頭を打った拍子に覆面がはがれて素性が割れた
めでたくも腹ばいで口ふさぎあう餅付きだから
股ふたつ、皴深い袋をぶつけて降伏の鐘をうつ