福袋が鳴らす鐘の音
菊西 夕座

福袋の中に幸福が眠っていたから
寝袋かよってツッコミいれても
寝正月を決め込んで突っ伏してるから
幸伏かよってまたツッコミいれたら
紅白の袋が破れて中身が半分こぼれ
幸が不在の不幸になった福のとなりに
紅が寄り添って紅福そうにしてるから
災い転じて袋なお良しかって聞いたら
アア、ソコが破れたままでよいと言う
下着をはくはくと白がわめいていたけれど
裂け目の暗部にはモザイクがあてがわれ
店員がバーコードで読むとピーと音がし
白い液が漏れているから欠陥ありとされ
交換するという申し出をやんわり断り
縁結びの神になった得意さで店をでたが
袋の紙の方は愛欲でべたべたに濡れはて
蜜のように重くとろけて底をつき破り
手元には袋の切れ端しか残らなかったが
それを顔にかぶせて福面にしたとたん
首から下がおぞましい芋虫に思われ
寝袋から抜けだすように一切を脱ぎ捨て
紅一点の太陽に向かって羽ばたいたが
一転して道端に落ちていた幸に足をすくわれ
頭を打った拍子に覆面がはがれて素性が割れた
めでたくも腹ばいで口ふさぎあう餅付きだから
股ふたつ、皴深い袋をぶつけて降伏の鐘をうつ



自由詩 福袋が鳴らす鐘の音 Copyright 菊西 夕座 2026-01-01 23:36:46
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