亡国
鏡ミラー文志

「どうして、子供が生まれない国になったの?」
「それは、この国が『美しい天国』から『気持ちいい地獄』になったからよ」
「どうして、そうなったの?」
「夢浪漫を無くしたからよ」
「夢浪漫を無くすと、なんで美しいから気持ちいいになるの?」
「貴方は、欲しいでしょう。子供が」
「うん、こんなに欲しいのに」
「本当はネ、亡くしたんじゃない。すり替えられているのよ」
「どういうこと?」
「それはつまり、こういうことなの。欲しい気持ちに星がつくと、美しいになるわ。あの娘が誰より、星い星い。でも、星はいつでも、スタアスタア。程良い距離感。人間たちに愛想を振り撒き、気品と高貴。でも、今の時代はね。気持ちいいことを追い求める男女がいて、始終回楽を貪るのみ」
「冬の夜に星空を見上げるのは、気持ちいいよ」
「そんな、お淑やかなものじゃないわね」
「二人手を繋いで見上げると、熱った手と手が暖かいよ」
「そんなロマンチックなものでも、ないの。闘って負けた国に飴をもらうのが、気持ちいい。なんにも考えずに忘れていくのが、気持ちいい。ふしだらで淫らな自分について考えないことが、一番気持ちいい。弱いものを虐めるのは、気持ちいい。相手が嫌がってもお尻を触ったり、アソコを挿入するのが、気持ちいい」
「嫌だあ。夢浪漫って、大事だね」
「そうよ、夢浪漫って、大事なのよ」


自由詩 亡国 Copyright 鏡ミラー文志 2025-12-30 04:53:30
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