竪琴と寓話、または水滴の状態
牛坂夏輝
竪琴は
夜の
蒼白な
印象の前で
自分の理想的な
藁を弾いている
音は
明晰な鳩たちよりも先に濡れ
可憐な
仮設住宅の
ランプを交換した
それは寓話である
寓話とは
口を閉じて立つ
内部の昆虫たちを
色褪せた
最初の情報の中に沈める行為である
そこでは巻き毛だけが
浮上のための農耕地を持つ
均衡を欠いた暗がりで水滴が震える
水滴は
軽はずみな事実を
隣室の花瓶の中から記憶し
戦く紫外線の代役として
落下の内部にいる
ひとつの思想である
弦は触れられるたび
気高い十字路
ゴムの膜
形骸化した墓石の歌を失う
近代化された
遠い山々
水墨画のスタイルで
描かれた僧侶たち
忘却とは
最も正確な
外套を着たイグアナの卵
の見る
幻覚の内部構造が
悲し気に
ミルクを求めて彷徨う
海岸線の奏でる
旋律である
それは寓話である
か弱いテーブルの名を呼ばず
名指されたことのない甘美な鉄線の美学が
こちらを見ている
その視線は黒い頭の朝のような物語を
幾度も書こうと試みる
水滴とは袋小路を進軍するラヴェンデルの香りに似た
まだ呪詛のような期待感を持った
寝台車の恋人たち
お互いに純粋な馬具をつけて
恐怖について
勉強する子供たちのような状態であって
歴史家たちが
体毛を持ちながら語る
出来事ではない
私は校舎裏に埋まっている
音も水も可憐な獲物たちも
同じ
風と
瓦礫の
身体感覚で
呼吸している
それは寓話である
竪琴は折れ曲がり臓物を吐き出し
臓物の内部の
青い空を
小鳥たちが横切る
寓話は口を失い
薄らいだ季節の記号についてだけ
語るようになる
水滴は床の上で震え
無数の吐息の信仰を待っているようだ
小さな煙が
最良の肺を調律しながら
放浪する独自性の食事を
待っている時間に
いま床は濡れていない
習慣の終わり
夜を設計したアーチ状の体温は
まだ誰にも触れられていない