ゆふぐれ
りつ

ゆふかげ柔らに溶け出して
思い出る寂しさよ
ひと恋しさに涙する

鴉は友を呼ばひても
友の姿はあらずして
ひとり山へ帰り来む
巣立ちも終へし後ならば
ただ眠るため目を閉じぬ

ひとを恋わずば
寂しさも
覚えることもなかりせや
ひとりの夕暮れ
星ひとつ
月のない夜に輝ける

たれか知るらむ
誰そ彼の
静寂しじまの向こうに
呼びかけて
応える聲も今は無き
疲れた足を引き摺りて
待つ者ぞなき家路を辿る

このゆふぐれの静けさに
ただ我のみが
存在す


自由詩 ゆふぐれ Copyright りつ 2025-12-23 17:14:47
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