雪だるま
山下ヤモリ

みんながぐっすり寝たころに
あたりがじんわり冷え込んで
気がついたらわたしは佇んでいた

どこにも行けず
なんにも喋れず
しんしんと降る悲しみのなかで
わたしは佇んでいる

冷たさとともに空からバケツが降ってきて
誰かが刺した木の枝がぐさりと沈み込む

どこにも行けず
なんにも喋れず
しんしんと降る悲しみのなかで
わたしは佇んでいる

誰かがマフラーを巻いてくれて
じんわり
じんわりじんわりと溶けていく
しんしんと降る悲しみのなかで
あたたかさの方に消えてゆこう


自由詩 雪だるま Copyright 山下ヤモリ 2025-12-23 10:15:02
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