一人
◇レキ

  夕立



とろとろまどろんでいたところ

遠くの雷鳴に
夢から引き剥がされる

さっきよりも少し暗い

エアコンの小さな風の音

父が丹精込めて育てたスイカは
静謐を閉じ込めて
いくつか無造作に転がっている

子猫は
僕の足に体をくっつけて
ゴロゴロ喉を鳴らしている





  冬至



もうかなり小さくなった
青春という飴を舌の上で転がしている

鏡で白髪を一本見つけて抜く

随分しなびた柚子を一つ
湯舟に落とす

ずっと弱火で煮えている焦りに
もう一度蓋をする

豆苗は伸びていく


自由詩 一人 Copyright ◇レキ 2025-12-23 01:10:02
notebook Home