秋は満ちて行く
そらの珊瑚

ハナミズキの葉がいちまい
歩道の煉瓦に落ちていた
秋の刷毛をなんども塗り重ねた深い赤色
葉裏にのせたあさつゆは
指にはめたダイヤモンドよりも
透明にかがやく

風にひるがえってしまえば
しずくはこぼれ
魔法は失われ
どこへ
どこへいくかはもう追えない
ふるさとには帰れない
けれど
その身に刻まれた葉脈は木のかたち
てのひらにのるくらいの小さなみなもと

ひとりになってもひとりじゃない
こころのうちがわはなんのかたち


自由詩 秋は満ちて行く Copyright そらの珊瑚 2025-12-03 12:31:35
notebook Home